西本願寺の秋季彼岸会中、9月23日(火曜日)の日中法要(10時~)に、讃仏講式という珍しい法要がお勤まりになります。講式とは、古くは源信和尚の六道講式に始まり、本願寺では覚如上人の報恩講式が有名で、語物(かたりもの)といわれる和文形式の独特な旋律を持つ聲明の一種です。宗祖後在世の頃、聖覚法印がその唱え方を完成され、大変流行しました。その独特の唱え方は現在まで伝承されており、また御伝鈔や御文章の唱え方のルーツとなるものです。この讃仏講式は、本願寺第14代宗主寂如上人(1651-1725)がお作りになったもので、表白に続き以下の五段の式文から構成されています。
第一段 讃荘厳浄土(浄土の荘厳を讃ず)
西方浄土の華・池・宝閣などの勝妙なる荘厳は、すべて無辺汚穢の衆生のために有り、衆生の悪業煩悩の心を治すためであることを示され、一心に西方浄土を欣求し、阿弥陀如来に帰命し、恭敬礼拝すべしと結ばれる。
第二段 嘆仏身相好(仏身の相好を嘆ず)
阿弥陀如来の髪、顔、眉、眼、鼻、耳、唇、舌、声、指、等々大変勝れた特徴が有ることを讃嘆され、その姿を忘れず念仏相続するよう結ばれる。
第三段 明修行相貌(修行の相貌を明かす)
多生の輪廻を繰り返し、人間に生まれて、たまたま西方の仏教に遇えた今、阿弥陀如来の誓願に乗託しなければ不毛の頑石に等しい。速やかに生死を離れるには、念仏の法門入り往生の真因を頂戴すべきである事を明かされ、共に菩提心を発し、まさに恭敬礼拝すべしと結ばれる。
第四段 論菩提妙果(菩提の妙果を論ず)
五逆謗法の人も、阿弥陀如来の往相還相の回向から漏れず、信心獲得のものは仏の智慧に導かれるものとなる。速やかに五悪趣を超え命終われば無常涅槃の果を得ることできるこの教えは、一乗究竟の最も勝れた教えであることを論じられ、恭敬の心に住し、須く弥陀を礼拝すべしと結ばれる。
第五段 揚弘通之功(弘通の功を揚げる)
釈尊が説かれた浄土の真経は末代の人々を潤し、三毒を療し、その教えは、四海、万世に広がった。それは迷いの巷を出る大きい源であり、悟りに至る直路である。尊教を頂戴し、謹んで忘れず、偏に仏恩を念じてまさに恭敬礼拝すべしと結ばれる。
秋の一日、是非ご本山(西本願寺)へお参りされ、古の聲明をお聴聞してください。
2014年8月17日