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涅槃図(ねはんず)その2

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阿難尊者(あなんそんじゃ)
宝台の手前には、倒れている僧侶が見えます。十大弟子のひとりで、いつもお釈迦様のお側にいた、多聞第一(たもんだいいち)といわれた阿難尊者が、その悲しみのあまり気を失って倒れています。その阿難尊者に清らかな水を注いで介抱しているのが阿泥樓駄(アヌルッタ)尊者で、「お釈迦様が亡くなられても、その教えは絶えることなく人々を救い続けるのです。だから、わたしたちは精進して、お釈迦様が遺された尊いみ教えを人々に伝えて、そのご恩に報わなければならない」と阿難尊者に語りかけると、阿難尊者はようやく気を取り戻しました。

目連尊者(もくれんそんじゃ)
宝台の手前には、神通第一と言われる目連尊者の姿も描かれています。この目連尊者は、日本の「お盆」と深い関係があります。目連がある日、亡くなった母の居場所を神通力で探しますと、母は餓鬼界に堕し地獄のような苦しみを受けていました。母を助けたいと食べ物を届けると、その食べ物は火と変わり却って母を苦しめます。そこで、目連はお釈迦様に助けを求めました。お釈迦様は雨期の修行が一段落する頃、修行僧達に供養することを勧められ、目連がその通り供養すると、その功徳によって目連の母は餓鬼道の苦しみから逃れることが出来ました。この故実がお盆の起源と言われています。

チュンダ
チュンダは、鍛冶屋の子でお釈迦様に最後の供養をした人です。しかし、その供養した食べ物が原因でお釈迦様は体調を崩し入滅されました。お釈迦様は、チュンダが非難されたり、自身を責めたりしないように、その供養は、苦行に疲れ果てたお釈迦様にスジャータという娘が差し上げた乳粥と同じく、最上の供養であると仰いました。涅槃図では、お釈迦様に食べ物を捧げている姿として描かれている場合が多いようです。

難陀(なんだ)龍王・跋難陀(ばつなんだ)龍王
難陀・跋難陀は兄弟の龍王で、仏法を守護する八大龍王に数えられています。お釈迦様が誕生された時に、天から雨を降らし祝福した龍王です。親鸞聖人は『浄土和讃』に、
南無阿弥陀仏をとなふれは 難陀跋難大竜等
無量の竜神尊敬し よるひるつねにまもるなり
と、お念仏を称えるものを護る神様としてその名を挙げておられます。

その他、観世音菩薩等の菩薩様から、犀(さい)や象、猫、そして虎や豹もお釈迦様のご入滅を悲しんで集まってきています。

それより2500年が経ちました。しかし、お釈迦様の教えは、場所や時代を超えて今も働き続けています。何故ならば、その教えが真実であるからでありましょう。

写真は「涅槃図の絵」(中央仏教学院蔵)